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投稿日:2019/01/01 更新日:

 

「ああ…ラミューさん。お茶でも欽みませんか」
 中野さんが何気なくそう言うと、後は軽くうなずいた。
 2人はそのまま近くの喫茶店へ。中に入ると混んでいたが、かまわずあいている席を見つけて向かい合わせに盛った。
「レモンスカッシュを下さい!」
 ラミュー氏は座るとすぐに店の人に声をかけた。
「ぼくも…」
 中野さんもあわてて同じものを注文する。

いきなりラミューだのレモンスカッシュだの意味がわからないだろうが、その説明は後に。

コンタクティー・ムーブメントの発端はジョージ・アダムスキーの登場にある。金星人とコンタクトしたとするアダムスキーのセンセーショナルな体験は彼を一躍人気者にし、数えきれないほどの追従者を国内外に生み出した。
そして、このムーブメントは、本家アメリカほどの規模にはならなかったが、少し遅れて日本にも訪れることになる。このコラムでは、その発端に位置するテキストを紹介しつつ、すこし変わった視点からコンタクティを眺めてみることにする。
まずはテレビだ。

■テレビ

【1958年/群馬県吾妻郡、永井勉】
人間ですから似るのが当然です

1958年3月26日、会社の出張で群馬県の吾妻郡を訪れていた永井勉氏が、社用をすませ釣りをしていたところ、家屋の上に浮かんでいる空飛ぶ円盤を目撃した。呆然と眺めていると、やがて意識が朦朧としてくるのを感じ、気がつくとその円盤の中にいた。そして、隣には宇宙人らしき者が座っていた。
そこで永井氏が質問して宇宙人が答えるという会話がなされるのだが、唐突に宇宙人がこう切り出す。
「降りてみましょうか?」
すると二人はいつの間にか童話劇らしきものが上演されている劇場の中にいて、永井さんはその出演者に自分そっくりの人物がいるのを見つけて驚いた。そのことを宇宙人に話すと彼はこう答えた。
「人間ですから似るのが当然です」
これは平野威馬雄が編集した『それでも円盤は飛ぶ!』(1960、高文社)に掲載された手記の要約である。永井氏によって第9回JFSA研究会の席上で提出されたものだという。
永井の手記を実際に起った出来事だと捉えるのは難しいが、それが嘘か白昼夢かなにかだとして、劇中に自分を見つけてしまうというヴィジョンはコンタクティーのコンセプトを、うまく表現しているかもしれない。
こう解釈してみるのはどうだろう、劇場は宇宙人から見た地球人の生活で、それは彼らにとってまるで幼稚な「童話」であると。そして「人間ですから似るのが当然です」という言葉は、地球人という見慣れない生き物の細かい差異を認識できない宇宙人という解釈が普通だとして、または、選ばれるのは誰でもよくて、つまりそれは自分でも構わないという解釈にも取れる。
ここで唐突だがテレビの話になる。この頃テレビは一般家庭にはまだ高嶺の花だったとはいえ、前年には国産初のカラーテレビが発売され、多くの人が街頭テレビで放送を楽しんでいた。当時テレビは、日常を一瞬で「劇場」に変えてしまう、とてつもない力を持った新しいメディア・テクノロジーだったはずだ。さらに、テレビという時間も空間も余すところなく使える広大な劇場には特別な人ばかりでなく自分さえ入り込む余地があった。
こう並べてみると、先の宇宙人の話とテレビの間に、なにかしらの接点を感じないだろうか。
コンタクティーという存在とその表現は、どこかで時代性やメディアと繋がっているのかもしれない。そして、テレビの浸透と合わせて、そのリンクはより具体的に表現されるようになる。
【1976年/東京近郊、山崎慎一(仮名16歳)】
UFOは映像伝達システム

東京近郊に住む山崎慎一(仮名)さんは、ユリ・ゲラー来日を機にスプーン曲げができるようになり、高校一年生になったばかりの頃、奇妙な文字を脳裏に見るようになる。そして1976年、東京近郊の街中で「レミンダー」と名乗るビジネスマン風の宇宙人と喫茶店でコンタクトを果たす。宇宙人は地球人が核エネルギーを使うことを危惧しており、このままだと海底に沈んだアトランティスのようになると警告した。
これは『UFOと宇宙(19○年○月号)』誌の「宇宙人に会った少年のはなし」という記事の要約である。彼の話でテレビとの接点を感じたのは、UFOを映像伝達システムだとしている点だ。それは「サムラージ」と呼ばれるシステムで、映像化した情報をテレパシーによって地球の担当者に送っているのだという。これまでのコンタクト体験にありがちな、宇宙人がマンツーマンでメッセージを伝えるという効率の悪い方法から、UFOから映像を複数の人に配信するという進歩を果たしている。そしてテレパシーを電波に置き換えれば、そのシステムはほとんどテレビと変わりないようにも思えてくる。
ならば本当に、宇宙人から得られたメッセージや思想をテレビを使って不特定多数に配信するの方が効率が良いのではないか?――そう考えたかどうかは定かでないが、別の本にこの体験とまったく同じことが書いてあって驚いてしまった。それは『UFOと超能力の謎』(1990年、日東書院)という本で、著者はあの秋山眞人。つまりこの当時16歳だった仮名山崎少年は、後にテレビの世界にも出入りするサムラージのサブ・チェーンとなったわけである。

■喫茶店

先の話でもう一つ気になるのは、彼が喫茶店で宇宙人とコンタクトしている点だ。今でこそ、このようなシチュエーションはミスマッチ感もりもりだが、喫茶店で宇宙人とコンタクトしたという話はこれだけではない。
そしてここにも当時のメディア状況との接点をなんとなく感じることができるのだ。携帯電話などなかった当時、喫茶店は人を繋ぐ場所であり、ソーシャルなコミュニケーションのハブとして機能する立派なメディアだったからだ。――というわけで冒頭のレモンスカッシュに戻るわけである。

レモンスカッュをください!
【1976年/札幌、中村青年(20歳)】

札幌市に住んでいた中村青年は1976年頃にアダムスキー型円盤と巨大な葉巻型母船を目撃、またその数日後には自衛隊のヘリコプターを追うように飛行する三角型UFOを目撃する。その後も同様の目撃を経験し、ついにラミューと名乗る宇宙人とコンタクトすることになる。
それはいつものUFO観測をしている最中で、いつのまにかなにげなく立っていた宇宙人ラミュー氏は、ドーナッツ型の金属を手渡し、その場から走り去った。
その後、中村青年はスプーン曲げができるようになり、さらにはテレポーテーション能力まで備わり、月や冥王星にまでテレポートしたという。
そしてその翌年のある日、音のしないジェット機のようなUFOが田んぼに着陸し、中村青年は搭乗をゆるされる。中にはタコのような生物とラミューさんがいて、そこで様々な会話がなされたという。
このような出来事の後になされるのが、『UFOと宇宙』(1978年2月号)の記事「札幌市で異星人との驚異的なコンタクト発生!」より冒頭に引用した喫茶店でのコンタクト・シーンである。
宇宙人が力強くレモンスカッシュを注文していることが何を意味するのかわからないが、この時ラミュー氏は、地球人の悪い想念で地球が太陽にのみこまれることを中村青年に話している。

レモンスカッュをください!
【1958年/桜木町(東京)、松村雄亮()】

 そこで、二人は野毛の「ヨテアモ」という喫茶庖で相対して坐った。北欧系のある種の神秘をたたえた美しい顔からは、終始微笑が消えなかった…年の頃は二十一、二歳であろうか…ワ
ンピースの上に首からさげた直径五センチほどの装飾品が絶えず七色に光り輝いていた。
 ここで彼女は、自分は最近日本へ配属された宇宙人であること、現在横浜に三人、東京に四人の宇宙人が来ていること、キャップは東京にいることなど打ち明け、あなたは東京のキャップに会うようになるだろうといった。この時二人はコーヒーを注文したが、彼女はコーヒーに入れるべきミルクをコップの水についで飲み、コーヒーには手をつけなかった。
■セカイノオワリ

喫茶店からセカイノオワリへと繋がってしまうのが、この世界の面白さであり、ひとつの重大な特徴だ。

超常現象情報調査センター(一般社団法人潜在科学研究所)の羽仁礼氏が調べたところによると、日本人コンタクティー第1号は、1958年1月に「宇宙人とテレパシーでコンタクトしている」と名乗り出た酒井克己氏であるとしている。冒頭にあげた永井勉氏の体験も同年だ。そしてその前年、先の喫茶店で宇宙人とコンタクトした松村雄亮によって、宇宙人との交流を目的とした宇宙友好協会(Cosmic Brotherhood Association、通称CBA)が設立されている。このあたりが日本のUFOコンタクティー・ムーブメントの発端と見てよいだろう。
CBAは多くの研究があるのでここでは大きく触れないが、彼らが起こした事件は世間的にはあまり注目されなかったにせよ、UFOコンタクティーのもう一つの特徴を明確化しているので飛ばすわけにはいかない。
CBA松村は、1960年から地球の地軸の移動(ポールシフト)によって大洪水がおきるという終末論を主張している。それは松村が翻訳したレイ・スタンフィードの『地軸は傾く』に記されていたことであったが、後に宇宙人に直接確認したとしている。そして、その時選ばれし会員には「リンゴ送れ、C」というメッセージが届けられUFOに救済されると説き、CBAをカルト的な状態へと導いた。
このCBA松村のように、未来に大きな危機感を抱き、それを伝えようとしている点もコンタクティーの重要な特徴のひとつだ。
さて、いまだ我々は様々な危機に瀕している。が、やれ地軸が傾くだの最終核戦争だのと「セカイノオワリ」が心底恐れられていた時代を経て、今や同名のバンドがファンタジックな楽曲で世間を癒している。

■おわりに

さて、いまだ我々は様々な危機に瀕している。が、やれ地軸が傾くだの最終核戦争だのと「セカイノオワリ」が心底恐れられていた時代を経て、今や同名のバンドがファンタジックな楽曲で世間を癒している。
この時代のコンタクティーを今で例えればなんだろう、かなり強引だが、ヒカキンと彼を真似て似たようなことを始めたユーチュバーみたいなものかもしれない。コンタクティーらはユーチューバーと同じく、科学者でも政治家でも宗教家でもーーそういった何らかの専門家や権力者でなく、ともすれば陽の目が当たらずに一生を終えたかもしれない社会的な影響力の低い人たちだった。そしてユーチューバーが投稿動画サイトというメディアを手に入れて現れたように、コンタクティーはUFOという拡散性の高いメディアを得たこよって、世間に向けて自身のメッセージを発信することができるようになったのだ。

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