日記

【味わうUFO】別冊「愉快な鯨」――ラファエル・ファリオルスの巻

投稿日:

 『 愉快な鯨―味わうUFO。ウンモ事件 』をご購入いただきありがとうございます。ここでは本に書ききれなかったウンモ事件の続きを少し書いてみました。

 ユミットから手紙の届け先には3人の代表的な人物がいます。

 まず、最初に手紙を受け取ったとされるフェルナンド・セスマ、彼はスペインで結構有名なオカルティストでした。それからアントニオ・リベラ、彼はUFO研究家です。そしてもうひとりが今回紹介するラファエル・ファリオルスです。

 リベラはユミットから愛想を尽かされ(あまりに手紙のことをあちこちでペチャクチャしゃべるので)手紙が届かなくなくなってしまいます。セスマは「愉快な鯨」というサークルをつくって精力的に関わっていたのですが、ユミットの円盤の着陸事件(サン・ホセ・ド・ヴァルデラス事件)のあと急激に興味を失い、ウンモ事件から手を引いています。その後にウンモ事件の熱烈フォロワーとなったのがファリオルスというわけです。

(Rafael Farriols、1928-2006)

 ファリオルスは、スペインの成功した実業家(ポリマー化学製品をメインとする企業の経営者)で資産家でした。

 彼はユミットの円盤の着陸事件をラジオニュースで知って現場に出向き、そこで「愉快な鯨」メンバーのヴィラグラーサと出会う事となります。ヴィラグラーサは自分たちが円盤がやってくることを事前に知っていたと興奮しながら彼に話しました。そして、その話に強烈に興味を持った彼は、愉快な鯨メンバーとコンタクトをとるようになります。ファリオルスとウンモ事件との出会いはこんな感じだったそうです。

 その後、円盤の着陸事件のショックからウンモ事件に拒絶反応をしめしはじめていたセスマから大量のユミットからの手紙を買い、「マドリッド・グループ」というウンモ事件の学会を組織して、いくつかの調査の金銭面でのスポンサーをすることになります。

 その調査には、ユミットが関与しているとされる1954年にスペイン全土を揺るがした変死事件「マルガリータ事件(切断された手の事件)」が含まれています。彼は私立探偵を雇い調査を依頼したのです。さらに、ユミットからの手紙の口述タイピスト探しにも同様の調査をしています。ですが、どちらもあと少しのところでユミットからのストップがかかり中断させられたそうです。

 そうこうするうちに、彼の元にもユミットからの手紙が届くようになり、ますます情熱的にユミットに興味をもつようになります。

 1980年になると、ファリオルスの屋敷に視聴システム一式を置かせてほしいとユミットから連絡があり、快諾しています。それまで、ほとんど一方的なコミュニケーションだったユミットとの接触は、ここにきて発言の場が与えられようとしているようでした。その装置は彼の仕事部屋に設置されたようなのですが、どこに設置されたはわからなかったそうです。それからというもの、彼は仕事部屋で大声で様々なことを質問するようになり、その解答はマドリッド・グループのメンバーのバラネチュアかドミンゲスの元に手紙として郵送されたそうです。

 この視聴システムに関連しては、もう一つ話があります。ファリオルスの女性秘書であるヒルトルード・フランツ(通称:ルウ)が重い病気を患い死の床にあった際、ファリオルスはいたたまれず、通信装置が設置された部屋に入って「なんとかしてください!」と大声で叫んでみたそうなのです。すると、なんと堂々とユミットが姿を現し、ルウを看病し病を治してしまったというのです。

 また1989年以降には、ユミットと電話でのやりとりが頻繁におこなわれるようになり、ファリオルスのところにも頻繁に電話があり、かなり長い間の会話がもたれたそうです。彼は、何度か電話に録音装置をしかけようとしたそうですが、そのすべてにおいて彼らに感づかれ、録音の中止を告げられたそうです。

録音されたユミットの電話の声。ファリオルスとは別の人物が録音したもので、動画に登場しているのはアントニオ・リベラ。

 ファリオルスのウンモ事件に対する愛着は、自分が手をかけた会社に「IBOZOO」や「OEMI」などのユミット語を付けている事からも伺い知る事ができるでしょう。また、ユミットからの手紙に書かれていたものを基に、モーターのような駆動部分が全くない録音装置の特許を取得しています。これは現在我々が使っているスマート・メディアなどのフラッシュメモリーの元になったものではないかとも言われてたりするんですが、う=ん、どうだか。他にもユミットが芸術活動に使用するとされる「匂いのオルガン」なども制作したそうです(ユミットは音楽を持たず、「匂い」をつかった芸術が盛んだった)。

 ウンモ事件が長い間興味を持たれた背景には、彼のようなパトロンの存在があったことも一因かもしれません。ファリオルスは2006年にこの世を去ります。彼の豪華な邸宅にはウンモマークが掲げられていました。

ファリオルスの邸宅。わかりずらいが、屋根の上にウンモマークが掲げられている

 

 

『 愉快な鯨―味わうUFO。ウンモ事件 』および、
Spファイル友の会の刊行物はBASEオンラインショップで購入することができます。
https://spfile.thebase.in/

画像はヲスカルさん撮影

-日記

関連記事

編集長の日記#5―Buck Nelson said no one could see him as Bo was to shy.(バック・ネルソンは、ボーが恥ずかしがり屋なので、誰も彼を見ることができないと言った)

またしても犬である。今回は1950年代から60年代に活躍したバック・ネルソンというコンタクティーにまつわる犬の話である。このブログのタイトルにした「Buck Nelson said no one co …

編集長の日記#1―BASEによる通信販売と「Spファイル友の会」のこと

Spファイル友の会のUFOエッセイ誌『UFO手帖』創刊号の通信販売を開始いたしました。とても頑張ってつくったので(小並感)、手に取って読んでいただけると嬉しいです。既に文フリや通販で手にとって頂いた方 …

編集長の日記#7―夏コミ御礼と『マゴニアへのパスポート』通信販売再開、SFファン交流会、ASIOS『UFO事件クロニクル』

■夏コミ御礼 さて、そういうわけで我々Spファイル友の会は失われた宇宙的秘儀をとりもどすため、というか『UFO手帖 創刊号』と花田氏からあずかった『マゴニアへのパスポート』を頒布するため、先日行われた …

編集長の日記#2―『UFO手帖』はかく語りき(1)表紙

今年もおしせまってまいりまくり、残すところあと3日です。毎日のようにくだらなくてつまらないオカルト特番がテレビを賑わしていますが、いかがお過ごしでしょう。僕はこういう番組を見ないことにしようと決めたの …

【UFO散歩#2】かつて存在したUFOサイト「ufoevidence・org」について

UFOに興味ある者なら、このURLや下のグラフィックに見覚えがあるのではないだろうか?――「ufoevidence.org」――このサイトは、かつて我々と英語圏のUFO情報をつなぐすばらしい架け橋でし …

現在BASEで入手可能なSpファイル友の会の書籍

現在入手可能なSpファイル友の会の書籍

UFO手帖8.0

 COMING SOON
 UFO手帖8.0

 UFO DIG-UP!

愉快な鯨

UFO手帖3.0

さみしいUFO。

[gAd] Spスクエア